共同生活〜蜜〜

承諾したつもりもないし…許したつもりもないし…納得したつもりもない…けど僕のそばから離れられるのも嫌われられるのも嫌だから…喜んでる…あなたは誰のモノ?

〜約束〜

カナコさんに僕の寂しい生活を言ってしまい数分ほど気まずい雰囲気が喫茶店内を漂っていました。僕とカナコさんだけでなく喫茶店の店員さんにも聞こえてしまったらしく店員さんの僕を中傷するようなヒソヒソ話に喫茶店から早く出たい…でも出るに出れない恥ずかしさがありました。


するとカナコさんが「ひさしって社宅なんでしょ?部外者は入れないの?」、「いや、入れます」、「じゃあデリも呼べんじゃん!」、「はい、でもまだ注文したことないですけどピザとかお寿司とか頼めます。」、「ちげぇーよ!デリってデリヘル!誰がそんなこと聞くかよ!」、「あぁ〜すいません。でもデリヘルは呼ばないです…」、「呼ばないじゃなく呼べねんだろ?臭くて汚い部屋だから…しかも早漏な!」、「ごめんなさい…今度呼びます…」、「…って部屋に風呂ないとか言ってなかった?風呂ないと呼べねぇぞ!」、「えっ?そうなんですか?…えっ…なんでカナコさん知ってる…ですか?」、「デリしたことあるし…」、「え?あるんですか?」、「2年前ぐらいかな…でもすぐ辞めた!」、「カナコさんはそんなことしてダメですぅ…悲しいですぅ…嫌ですぅ…」、「なに?なに、なに?心配してんの?ウザッ!やめてくれる?そういう奴嫌いなんだよね!心配とか嫉妬とか束縛とかさ」、「ごめんなさい…もうしないです…ごめんなさい…」、「どうでもいいけどさ、もう帰るわ!」、「えっ…えっ…あの…あの…あの…」、「なんだよ!マジで!なに?」、「いや、あの…あの…また会えます、か?」、「会わない!ひさしといると疲れが増す!」、「えっ…ぼく、僕は会いたいです…」、「なんで会わないといけないの?こっちが嫌なんだからさ…分かった?」、「はい…いやっ…あの…えっ…えっ…あっ…えっ…あの…」、「なんだよ!…はぁ〜マジキツ!」、「あの…仕事場はこの近くですか?」、「え?事務所が近くだけど現場は別んとこ…って…ストーカーとかすんなよ!」、「いや、そっ…そんなことしません…でも会いたいです」、「あぁ〜もう分かった!会えばいいんだろ?会えば…」、「はい、嬉しいです…ありがとうございます」、「じゃあ、今度ひさしの臭い部屋に行くから!いい?」、「はい!ぜひ来て下さい!」、「なにその笑顔!行ってもひさしが思ってるようなことしねぇけどな!」、「えっ…あっ…はい…部屋きれいにしておきます!…いつ…いつですか?」、「いつかは知らない!そん時はLINEすっから待ってな!分かった?」、「はい!」


カナコさんが僕の部屋に来てくれるという約束をしました。本当に嬉しかった。

この日から毎日、毎日、カナコさんからのLINEが来るのを待つ生活が始まり…3日目が過ぎ1週間が過ぎ…1ヶ月が過ぎ…2ヶ月が過ぎたあたりにやっとカナコさんからLINEがきました…(来週の3連休はなにしてる?)と…僕は何も予定がなかったので(なにもしてないです)と言うと(じゃあ、ひさしんとこ行くから!部屋きれいにしておけ!)と…。


僕は3連休の前日まで部屋をきれいにしました。そして、久しぶりにカナコさんと会いました。やっと会えました!

〜再会〜

駅のホームに向かって歩いてると僕の背後から「ひさし!…ひさし!」と僕?の名前を呼ぶ声がして後ろを振り向くとカナコさんがいました。僕は嬉しさのあまりに立ち尽くしていると「ひさしっしょ?なにしてんの?」と…。


僕は泣き出しそうなのを我慢して「かっ…カナコさん…会いたかった…会いたかった…」と言うと「なんで会いたかったの?だったらLINEしてまた会えば良かったじゃん!」、「えっ…LINEしてたらまた会えたんですか?」、「時間が合えば会えるでしょ!」、「あの…今からあそこの喫茶店で話とか…ダメですか?」と勇気を出して誘ってみると「いいよ…なんか会わない間にひさし成長してるじゃん」と褒められた。嬉しかった。


喫茶店でカナコさんと色々な話をしました。

でも僕はカナコさんにどうしても聞きたいことがあり怒られるのを覚悟で聞きました…「カナコさん、この1年で誰かとエッチとかした…したり…なんか…しました?」と聞くと「え?したよ…するに決まってんじゃん…1年もしなかったら死んじゃうじゃん(笑)」と…僕は何故だかショックでした…勝手に僕のカナコさんだと思っていたからです。


僕は何だか悲しくなっていると「なに、なに?スゲー悲しそうな顔してるけど(笑)ひさしの女じゃねんだからさ…えっ?もしか…あの1回で彼氏にでもなったつもりじゃないよね?」、僕は小声で「いや、でも、そんな感じに思っていたかも…しれないです」、「マジ?あり得ないから(笑)…ひさしさ、早漏じゃん!それも超早漏!あんなに早くイッてさ誰が付き合おうと思う?考えてみ!…いねぇだろ?いる訳ねぇし…(笑)」とかなりバカにされた僕でした。


でも何故だろう?あんなにバカにされたのになんだか嬉しい気持ち…もっと、もっと言ってバカにしてほしい。

僕は「まだダメなとこありますか?…言ってほしいです…。」、「なに?キモいし…えっ?なに?興奮してんの?ウソでしょ?…マジで?」と哀れな目で僕を見るカナコさん…そんな顔して見ないでください…もっと、もっとそんな顔して見てほしくなります。


するとカナコさんが「ひさしって世界一のドMだよね…それも役立たずの(笑)…女を一生気持ち良く出来ないクソ人間(笑)いやクズ以下!…どう?悔しい?」、「いえ、悔しい…というか…嬉しい…というか…う〜ん…」、「はぁ〜…いつもハッキリしないよね…なんなんだろう…」、「ごめんなさい…」、「はぁ〜ひさしと話すと疲れる…この1年で何か自分自身で変えたことある?」、「えっ?…えっ…と…就職…あっ!一人暮らししました!」、「はぁ?ハタチ過ぎて一人暮らししました!じゃねぇよ!当たり前だろ!いつまで親に頼ってんだよ!」、「ごめんなさい…」、「で?あとは?」、「あとは…えっ…え〜っと…」、「ねぇならねぇって言えよ!そんなんで一人暮らし出来てんの?何も出来なさそうだし…臭そう…」、「はい…」、「ひさしは一人で生活して何してる時が楽しいの?あんかある?」、「なに…え〜」、「オナってる時が楽しいとか言うなよ(笑)」、「あっ!あぁ…あの〜言っていいのか分からないんですけど…隣りに住んでる…あの〜エッチ…聞いてます」、「はぁ?なに言ってんの?変態かよ!気持ち悪いよマジで!…えっ…それをネタにシコッてんの?」、「はい…」…。


なんとも悲しい現実です。

まさかそんなことをカナコさんに言ってしまうとは…。

〜新生活〜

喫茶店で話をした日からお互いにLINEのやり取りは一切無くなりました。自然消滅とでもいうのか…でも僕はカナコさんのことは一日たりとも忘れていませんし好きという気持ちも変わっていませんでした。でもなんだか気まずい気持ちもあり僕からLINEを送るのが出来ませんでした。


その日から1年後のことです。


相変わらず僕は出会い系サイトに夢中で出会えないサイトでやり取りをしていました。童貞を卒業したとはいえ全く卒業した感じが無くまだ童貞なんじゃないかって思えるほどでした。まぁ一度しかエッチしてないし2分ぐらいで射精してしまいましたので童貞といえば童貞かもしれません。


僕はこの1年でアルバイト生活から抜け出しある会社に就職をしました。中小企業での仕事ですが働き始めて初の一人暮らしもスタートしました。一人暮らしと言っても社宅なので一人暮らし感は感じませんが…。


社宅は一般的なマンションなのですが浴室がある部屋と無い部屋があり僕の部屋は浴室が無い部屋で共同の大浴場を利用していました。浴室がある部屋には夫婦で暮らすという条件があったので僕は…。浴室が無いのは不便でしたがそんなことを考えても仕方がありませんし僕なんかが就職出来ただけでも…。


ただ、この社宅は壁が薄いんです。話声はもちろん寝息も聞こえるぐらいですから…。それでも自由に楽しんで生活はしていました。唯一の楽しみは隣りの夫婦の営みを聞けることでした。壁が薄いと知りながらも隣りの夫婦は激しいセックスを毎晩のようにしています。僕に聞こえても関係なしとでも思っているのでしょう…。


ある日、仕事終わりに例の場所に行きたくなりました。ずっと行きたかったのですがなかなか時間が無く行けなかったので…。

例の場所とはカナコさんとの待ち合わせ場所になった駅前のコンビニです。カナコさんがここに居たって感じたかったしこの場所からラブホに向かった僕にとっては神聖な場所なんです…。


コンビニに着くなり誰かを待つ訳ではなかったのですが何だか待ってみたい気持ちになりました。何分間か待ってみましたが誰も僕に興味無しで素通りして行きます…当たり前ですが…。僕は時間の無駄だとやっと気づいて駅のホームに向かうと遠くからニッカボッカの作業服をきた人達がこちらに向かってきました。


僕はあの中にカナコさんがいるかもしれないと思いその人達をずっと見ていました…が男性しかおらずカナコさんがいなかった。

カナコさんってもしかしたらこの辺で仕事してるのかも知れないと思った僕は男性達が来た方向に向かってみました。


でも、ニッカボッカの作業服を着た人が見当たらないし方向音痴の僕がむやみやたらに歩いてたら迷うと思い途中で止めて再度駅のホームに向かいました。